老舗モスバーガーフランチャイズを継ぐ、若き女性経営者の挑戦

今回は、熊本を拠点にモスバーガーのフランチャイズ店舗を複数展開する株式会社ウイ・テックの竹原詩乃社長にお話を伺いました。お父様から事業を引き継ぎ、日々奮闘する竹原社長のリアルな声をお届けします。

聞き手: 岡本(想いをつなぐ事業承継 代表)

話し手: 竹原詩乃さん(㈱ウイ・テック 代表取締役)

 

会社とフランチャイズ経営の基盤


【岡本】: 竹原さんの会社は、熊本でモスバーガーの店舗を複数経営されているんですよね。
【竹原】: はい、そうです。現在、私たちのモスバーガーの店舗は7店舗あります。 松橋店を最初に始め、最近はゆめモール合志店や田崎店を新装オープンさせました。また、宇城市で七夜月不知火別荘という居酒屋も経営しています。
【岡本】: フランチャイズ経営では、商品や価格が決められている中で、「どう売るか」が各社の腕の見せ所だと思います。店舗ごとに戦略を変えることはありますか?
【竹原】: ええ、戦略は店舗ごとに変えています。例えば、新しいゆめモール合志店と田崎店はカフェ仕様の内装を意識したり、お客様が多い店舗ではドライブスルーのレーンを2つに増やして、いかに多く商品を提供できるかを考えて設計しています。
【岡本】: なるほど、店舗設計から戦略を練るのですね。一方で、フランチャイズ本部との関係性で大変だと感じる点はありますか?
【竹原】: 「こんなことまで細かく聞かれるのか」と感じることも正直あります。強制力はありませんが、社内の人事に関するデリケートな部分まで、細かく確認が入ることがありますね。モスバーガーチェーンが理念の共有を大事にしているからこそ重視されているのだと思います。
【岡本】: 現場の事情を理解してくれている部分もあるとはいえ、制約や細かな指示が多いと感じる場面は少なくないのでしょうね。

 

家族経営のリアルと「人」と「株」の承継


【岡本】: 現在の役員構成はどのようになっていますか?
【竹原】: 父が代表取締役会長で、私が代表取締役社長という構成です。少し前までは兄も一緒に仕事をしていましたが、今は私一人になりました。もちろん不安もあります。父も兄妹、家族で支え合ってほしいという思いがあるのかもしれませんが、家業から企業へ少し変化し始めたように感じます。
【岡本】: 一般的な家族経営では、身近な関係だからこそ言える強みがある一方で、衝突すると難しい面もありますよね。家族経営ならではの難しさというのは、どのような点に感じていらっしゃいますか?
【竹原】: はい、本当に一筋縄ではいかないですね。身近な分、言いたいことも言える反面、やはり配慮が必要な場面も多々あります。社員の意見を父に伝えるといった、間に立つ役割も少なくありません。家族だからこそ、客観的な視点を持って伝えるよう心がけています。
【岡本】: 家族経営は、「所有」「経営」「家族」の3つの要素が密接に連携すると強みを発揮しますが、一度バランスが崩れると危うくなるとも言われています。
【竹原】: 全くその通りです。会社としては私がしっかりと経営を守っていけても、家族間の連携がバラバラだと、最終的に誰が責任を負うのかという問題に行き着きますから。
【岡本】: その中で、経営面での承継で特に難しいと感じる課題はありますか?
【竹原】: 「人の承継」が一番難しいだろうなと思っています。父は威厳がありましたが、私は皆を引っ張ってい
くというより、皆が活躍できる環境を守っていきたいタイプなので、経営スタイルが大きく異なります。
【岡本】: ご自身のカラーを出していく形になるのですね。社員さんからの見方も変わるでしょうし、その点での葛藤はいかがですか?
【竹原】: 父がいてくれたからこそ、私は感謝の気持ちで会社に入ることができたと思うのですが、これからは私が「ありがとう、ありがとう」と言っているだけではいけないなと考えるようになりました。従業員さんから頼りがいがあると思われるように、自分自身を磨いていくしかないなと。従業員さんの中には、私が小さい頃から知っている人もいるので、「かわいいかわいい」と見てくれていた人もいます。そういった方々との関係性の変化も、一つ難しい点だと感じることがあります。でも、しっかり良い会社にして恩返しをしていきたいです
【岡本】: 社員さんが多いからこその難しさですね。トップが馴れ合いになるのも嫌だと思われたり、その葛藤はよくわかります。
【岡本】: 株の承継も、親族承継では避けて通れません。そちらはどのように進めていく予定ですか?
【竹原】: 父が株を持っていて、株価が長年かけとても高くなっています。税理士さんや弁護士さんなど、さまざまな専門家に相談している段階です。
【岡本】: 私の場合も、祖父から株を全て引き継いだ際、事業承継税制の納税猶予なども検討しましたが、条件が多岐にわたるため、専門家の意見を聞きながら進めることが重要だと感じました。

 

後継者としての覚悟と決断


【岡本】: 後継者になることを決心されたのは、何年前くらいからですか?
【竹原】: 完全に決まったのは、2年ほど前のことです。まず本部の後継者研修を受けないといけないということで、2023年11月に参加しました。
【岡本】: その時はもう後継者になることが決まっていたのですね。竹原さんご自身が「私が社長になるんだ」と強く決意されたタイミングは、どんな時でしたか?
【竹原】: コロナの緊急事態宣言が出た時が大きな転機でした。それまでは事務員として事務所にいましたが、現場に出て現場の人たちと交流するようになったんです。急な休業要請で店舗が1週間休んだり、お客さんが来店しても対応できなかったり。誰かがコロナにかかったら「私が代わるから、休んでください」ということもあのときは頻繁にありました。そのような大変な状況を経験をしたり、父の年齢のこともあり、「後継者としてやってみよう」と決心しました。
【岡本】: 現場経験は、経営者として一生大事になる財産だと思います。並大抵のことではありませんし、責任感と人間性が備わっているからこそできたことでしょう。現場の皆さんも竹原さんの姿を見て、「この人なら社長を任せられる」と感じたのではないでしょうか。
【竹原】: 「この人なら」というよりは、状況的に「この人しかいない」という感じだったと思います。末っ子だし、女だし、一般的には一番あり得ない私に声がかかっているということは、私が「しない」と言ったら、M&Aか、従業員さんの誰かが背負わないといけない。そう考えた時に、「やるしかない」と。やるしかないモードに入りましたね(笑)。
【岡本】: そういった状況での決断は、人を強くしますよね。
【竹原】:本部の後継者 研修を受けていた頃が、多分一番そうでした。もう他に選択肢はない、と。最後の講義で、モスの社長さんや役員の方が60人くらいの前で、厳しい事業計画のプレゼンをすることになって。そこで熱い想いが溢れました。
【岡本】: 銀行でのご経験も、後継者として家業を継ぐ上で大きな基礎となったのではないですか?
【竹原】: はい、本当に大きかったです。法人営業で様々な経験をさせていただき、ビジネスマナーやPCスキルなどもそこでしっかり学ばせていただきました。金融機関での経験は本当に大きかったと実感しています。

 

未来への挑戦とビジョン


【岡本】: 最後に、今後この会社をどのようにしていきたいか、お聞かせください。
【竹原】: 良い意味でも悪い意味でも父の存在感がある会社だったので、私がそこを壊すんじゃないかという不安はありました。でも、それも良い方向に、もう少し社員さんたちが伸び伸びと、肩の力を抜いて、自分の仕事に集中できる環境を整えたいというのが一番です。今までの「昔ながらの我慢と根性で成果を上げる」というのもその通りだとは思うんですけど、もう少し効率とか、何とか考えられないかな、と。
【岡本】: 社員さんが伸び伸びと前向きに働ける環境を作り、モスバーガーの店舗を増やしてブランドイメージを良くしていく。それが社長になられて取り組んでいかれることなのですね。
【竹原】: はい。あとは、今のフランチャイズ法人は後継者不足という課題を抱えているところも多いので、そのようなとこの支援もしていきたいです。モスバーガーももっと良いものがあると思うので、熊本県のモスバーガーは、「最先端を走る」ようなイメージチェンジをしていきたいなと。
そして、社員さんたちも働いていて楽しい環境をつくりたいです。「仕事イコール大変」みたいなイメージを持たれている人もいるので、経営者が思っているように社員さんも仕事が生きがいと思ってくれるといいですね。
【岡本】: 竹原さんの率直な言葉からは、事業承継者としての重責と、それを乗り越えようとする強い意志が感じられました。先代の築き上げたものを守りつつ、ご自身のカラーを出し、社員と共に新たな未来を創造していく竹原さんの挑戦を、これからも応援していきたいと思います。本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

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